業務用家具づくりにおいて新たな可能性を追求していく中で、私たちアダルが着目したのが「い草」です。一般的に畳のイメージが強い「い草」ですが、実は業務用家具にも広く活用すべき魅力が盛りだくさん。1500年も前から使われてきた伝統素材に改めて着目し、新たに生まれたアダルの「IGUSA」について解説してまいります。

空間へのメリット絶大!い草の魅力

それではまず、「い草」という素材そのものの魅力についてご紹介していきます。湿地や湖沼に育つイグサ目イグサ科イグサ属の多年草「い草」は、その独特の内部構造によって驚くべきパワーを発揮。様々な角度から、空間やそこで過ごす人々に好影響をもたらすため、業務用家具の素材としても非常に魅力的です。


1.空間の湿度を調整

「い草」の内部にはスポンジ状の繊維がぎっしりと詰まり、六角形が重なった蜂の巣のような多孔構造になっています。そのため、空気中の水分が多いときには無数の気孔が湿気を吸収して水分を蓄え、乾燥しているときには水分を放出して空間の湿度を調整します。この独自構造による優れた機能性が、多雨多湿の日本でずっと昔から重宝されてきた大きな理由のひとつです。


2.美しさを保つ防汚性

「い草」の表面は汚れにくく、美しさを保ちながら使い続けることができます。

試験方法
1.試料(い草生地)に汚染物質の醤油とコーヒーをそれぞれ0.2g滴下する
2.24時間放置
3.染み抜き処理を行う
(100%湿潤綿布を指で10回押し当て、次に別の100%湿潤綿布で10回こする)
4.汚染用グレースケールで評価測定する(JIS L 0805)

汚染用グレースケール評価判定4級以上で防汚性表示ができる
い草は5級判定!


3.空気を浄化

スポンジ状の「い草」が呼吸することで、シックハウスの原因とされるホルムアルデヒドや、呼吸器に影響を及ぼすとされる二酸化窒素などの有害物質を吸着し、空気を浄化します。まさに天然の空気清浄機です。


4.臭いを軽減

タバコ臭や汗臭など悪臭の原因となる様々な化学物質を吸着し、臭いを軽減させるパワーも備えています。


5.香りのリラックス効果

「い草」に含まれるフィトンチッド・α-シペロン・バニリンという3つの成分が、大きなリラックス効果をもたらします。特にフィトンチッドは「い草」の香りの主成分で、森林浴のストレス減少効果でも知られています。「い草」のある空間が心地よくて癒される大きな理由です。

副交感神経活動

い草は副交感神経活動を有意に亢進させた
→い草は鎮静効果を有する


後頭部α帯域振幅

低濃度のい草はα帯域振幅が有意に高かった
→い草は鎮静効果を有する


6.安心の防炎・難燃性

燃えにくい素材なので、より安全に使えます。適度な湿度を保てるという性質が、「難燃性」の大きな理由です。

防炎性能試験(じゅうたん)
1.試験体(い草生地)を50±2℃で恒湿地乾燥機に24時間置く
2.試験体をシリカゲル入り防湿庫に2時間置く
3.その後下記のような試験器具に取り付け試験を行う

4.バーナー(24mm)で30秒間試験体を燃焼する
5.残炎時間20秒以下、炭化長10cm以下で防炎判定合格

い草は残炎時間0~1秒、炭化長3~4cmで防炎適合判定


自動車用内装材料燃焼試験(JIS D1201)
1.試験体(い草生地)を温度21℃、湿度50%に24時間置く
2.下記のようにホルダーに試験体を設置する
3.ホルダーごと試験機に入れバーナー(38mm)で15秒間燃焼する

U字枠に試料を挟んだ状態
右端よりA標線38mm、B棟292mmの
燃焼区間254mm間で燃焼速度を求める評価
試験中の様子
右端より38mm炎のバーナーで15秒間接炎後右端A標線より左側B標線に向けて燃焼が進む

判定基準
・燃焼距離51mm以下、燃焼時間60秒以下で自消
・燃焼速度102mm/min以下で適合判定

い草は燃焼距離0mm、燃焼時間0秒、燃焼速度0mm/minで難燃規格適合!



アダルのIGUSA こだわり5大ポイント

「い草」ならではの魅力をご紹介した後は、いよいよアダルの「IGUSA」シリーズについて解説してまいります。日本の伝統素材「い草」に改めて着目し、私たちが目指したのは、これまでの「い草=畳=和風」という枠を超えた「業務用家具の新たなスタイル」です。

こだわり1. 100%国産天然い草を使用

まずは何と言っても、正真正銘の「100%国産天然い草」にこだわっています。日本で使われている「い草」の8割は海外産であり、国産は非常に希少です。効率性を重視して早めに刈り取られる海外産と比べ、国産のものは十分に成長してから刈り取られるので、表皮の厚みと内部海綿体が充実していて「強度・弾力性・吸湿性」に優れています。さらに、海外産は輸入時のカビ対策で極端に乾燥させなければならないため、その点においても国産の「耐久性」が上回ります。また、海外産の場合は、農薬や化学肥料の使用について把握が難しく、輸送のために薬品も加えられるので、「安全性」の面からも国産にこだわっています。「生産者の皆さまとの距離の近さ」もポイントです。

日本産い草(断面図)
中国産い草(断面図)

こだわり2. 国産高級グレードの長さ

長い方が、表皮が強くて内部が充実し、「耐久性」に優れているため、特に長めの「い草」を選定しています。5段階の上から2番目に位置する「高級い草」です。


こだわり3.約1割増の高密度で最高級の織り

一般的な畳の「い草」に比べ、約1割増の高密度で織り込むことにより、「耐摩擦性・耐摩耗性」を向上させています。座り心地を追求した最高級の織りで、絹のような「美しいツヤと肌触り」も生まれます。使えば使うほど美しい光沢が増していくのも魅力です。


こだわり4.泥染めをしない無染土い草

乾燥時間の短縮と保管中の劣化防止のため、収穫時に泥染めを行い、「い草」の表面に泥の被膜をつくるのが一般的ですが、そうすると乾燥工程や製織工程で大量の埃が出てしまい、環境にも生産スタッフにも負担がかかってしまうので、泥染めをしない「無染土い草」の使用にこだわっています。熟練の職人が天候や湿度などに応じて顔料の分量調整・配合を行いながら、「無染土い草」に染色をしていきます。「より美しい発色・ツヤのある質感」が叶えられ、「色移り対策」としても非常に効果的です。


こだわり5:社員も植え付け・刈り取りに参加

毎年11月頃に行われる「植え付け」、そして7月頃の「刈り取り」に社員も参加。良質な「い草」づくりを実際に体験させていただき、生産者の方々の貴重なお話も伺いながら、「い草」の価値や可能性について模索しています。



和洋問わずフル活用!IGUSA家具7選

伝統素材を守り継ぎ、家具の新たな可能性へ結びつけていく。私たちの想いとこだわりをカタチにした「IGUSAファニチャーコレクション」の中から、7アイテムをピックアップしてご紹介します。和洋問わずフル活用できるので、今後の空間づくりにぜひお役立てください。

1.響 hibiki

「い草」というコンセプトのもと、印象的なカーブを描いたラウンジチェア。異素材の金物と組み合わせるなど、多様な素材を使用しながらも足元はすっきりとしているため、空間をモダンな印象に仕上げられる。

2.永仙 eisen

背の組子柄が印象的な美しき1脚。日本の伝統美が息づく凛とした佇まいが、空間に洗練をもたらす。独特のフォルムが、深いくつろぎを約束。

3.和佳 waka

特徴的な模様を描くタモ材の木目と「い草」の融合が美しいソファ。低めのシートハイなので、靴を脱いで上がる空間に最適。肘クッションは左右どちら側にも設置可。雅な時間に寄り添う。

4.風雅 fuga

重厚な存在感で、空間全体の質を高める1脚。フォルムのイメージとは対照的に、座り心地はソフト。旅館のロビーなどにおすすめ。色の違いで、印象がガラリと変わるのも魅力。

5.一葉 ichiyou

伝統素材「い草」の温かみや上質感を存分に活かしたソファ。汎用的なデザインなので、使用シーンを選ばない。

6.天霧 amagiri

凛としてスマートで潔し。洗練された和の空間に映える1脚。手掛けがあるので持ちやすく、使い勝手も抜群。

7.iori

自在に組み合わせて憩いの場をレイアウト。組み合わせパターン多彩なIGUSAのモジュールファニチャー。非常に実用的で、ホテルはもちろん、オフィスにもおすすめ。

業務用家具にIGUSAという選択肢を

1500年も前から受け継がれてきた伝統素材「い草」に備わる魅力、そしてその「い草」を活用したアダルの「IGUSA」シリーズについてご紹介いたしました。「い草=畳=和風」というようにイメージが定着している素材だからこそ、新たな視点から新たな可能性が導き出されたときの革新力は大きく、空間デザインの幅も広がっていきます。日本の自然の恵みと手仕事の温もりが紡ぎ出す「国産天然い草」を活用し、これからも「IGUSA」シリーズと向き合ってまいります。業務用家具選びの際は、ぜひ「IGUSA」にもご注目ください!