コラム
COLUMN廃材から生まれる未来の家具── リンクラウンジ2.0が拓く、持続可能なものづくり

木材を無駄にしないために。家具メーカーとしての挑戦
家具の製造過程では、どうしても端材や廃材が発生します。これまでは、多くの場合、燃料として焼却されていました。しかし、当社は「限りある資源を余すことなく使い切る」ことを目指し、これらの木材を再資源化し、家具として新たな命を吹き込むプロジェクトを立ち上げました。その代表的な成果が「リンクラウンジ2.0」です。

バブル期の名作「リンクラウンジ」を、次世代へ受け継ぐ
「リンクラウンジ2.0」の原型となった「リンクラウンジ」は、1990年代初頭のバブル期に設計されたラウンジチェアで、大型の成型合板によるシェル構造と、包み込まれるようなフォルムが特徴でした。ホテルや公共空間を中心に採用され、当社のデザインと製造技術の高さを体現するモデルとして長く親しまれてきました。
2023年の創業70周年の節目を機に、これまで培ってきた意匠と快適性を継承しつつ、次世代の素材と製造技術を取り入れることで、サステナブルな社会にふさわしいかたちで生まれ変わらせたのが「リンクラウンジ2.0」です。

廃材と3Dプリンターの融合が生み出す新たな家具
「リンクラウンジ2.0」は、広葉樹の廃材を粉砕して樹脂と混合したペレットを原料とし、大型3Dプリンターで成形を行うという、新たなアプローチを採用しました。このプロジェクトは、福岡県大川市の製材所を母体とする井上企画とともにアダルと井上企画の共同開発によって進められました。
「リンクラウンジ2.0」では木粉と樹脂を混ぜたペレットを使用し、ペレット溶解積層方式を採用した3Dプリンターでシェル部分を射出成形しています。

左)木廃材 、 右)粉塵と樹脂を融合したペレット
今回のモデルでは、背と座を支えるシェル部分を3Dプリンターで造形し、クッションや脚部などはアダルの自社工場で製作。クラフトマンシップと先端技術を融合させた、新しいものづくりの可能性を示す家具となっています。
動画で見る「リンクラウンジ2.0」の製作過程
リンクラウンジ2.0がどのように生まれたのか、その舞台裏を追ったドキュメントムービーを公開中です。
循環型社会に向けた新たな挑戦
リンクラウンジ2.0の開発は、単なる復刻ではなく、持続可能な社会に貢献するための新たな挑戦でもあります。使用する木粉は、家具の生産過程で出る端材や廃材を活用しており、無駄を削減する循環型の素材活用に基づいています。これにより、環境負荷の低減が図られるとともに、廃材が新たな価値を生み出す形で社会貢献につながります。
当社は、このプロジェクトを機に、木材活用率100%を目指したサステナブルな次世代モノ作りにチャレンジしてまいります。
福岡市科学館での展示
リンクラウンジ2.0は、実際にその革新的な製造方法とサステナビリティへの取り組みを広く知っていただくため、現在福岡市科学館で展示されています。

【展示概要】
連携スクエア展示テーマ:「 SDGs + ゆたかな福岡」
科学技術の発展と豊かな自然環境を備えた「福岡市」の未来について、 持続可能な社会に向けたまちづくりや暮らしを共に考える展示です。
展示場所 福岡市科学館3F連携スクエア
住所 〒810-0044 福岡市中央区六本松4-2-1
休館日 毎週火曜日および年末年始
展示期間 2023年11月~2025年11月
入場料 無料(※5階基本展示室と6階プラネタリウムへご入場の際はチケット購入が必要)
福岡市科学館 https://www.fukuokacity-kagakukan.jp/
連携スクエア https://www.fukuokacity-kagakukan.jp/news/2023/10/1013f.html