変則的な構造で好奇心を育てる「本の森」

本の森 ――アジアの近代美術の専門館であり、美術を通じた交流の場としても親しまれる「福岡アジア美術館」7階に、その森は広がっている。


2019年3月のリニューアルにともなってデザインがプランニングされ、たくさんの葉(本)を茂らせる幹の役割を果たす「世界に1つだけの本棚」を製作することになった。
頂いたイメージプランには、天井まで届くほどの高さ、一部がくり貫かれたような変則的なカタチ、何段もの細かな区切り…
「本の森」構想をヒアリングした当初は、イメージ通りの本棚の製作が難しいと予想され、代案を提案しようとしていた。

しかし営業担当と家具職人たちは何とかお客様のご要望を具現化できないかと、
日頃の家具づくりで培った技術とアイディアを結集し、緻密な計算のもとしっかりとした”幹”をつくりあげた。
立つ位置によって空間の見え方が異なり、まるで本の森へ迷い込んだようなワクワク感に包まれる。エレベーターホールからは本棚がゲートのように見え、好奇心を掻き立てられる。

リニューアル前の様子


天井近くまである本棚でサイズも重量もある為、納入時も苦労した。
上下にパーツを分割して運び入れ、下パーツ設置した上に巨大な上パーツを人力で設置する必要があった。閉館後の深夜、10名以上が作業に駆け付け協力しながら無事に納入できたことがとても印象深い。

納入後は国内外のアジア・アート・旅に関する約1 万冊の書籍が国別やテーマ別に並べられ、アダルの既製イス・アロンソに座ってアートな本に没頭できるスペースになっている。


福岡アジア美術館 7階アートカフェ
住所/ 福岡市博多区下川端町3-1
    リバレインセンタービル7・8階
電話/ 092-263-1100
納入商品/造作本棚、アロンソ