コラム

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家具の背景を知り、これからの空間を考える。大阪フォーリサローネ2026 開催レポート

9月24日(木)~10月1日(木)「大阪フォーリサローネ2026」に参加し、大阪支店のショールーム「ADAL CREATIVE PLACE OSAKA」で、新作家具の試作品や新色を展示しました。

あわせて開催したトークイベントでは、ミラノでの取り組みと、新商品開発の背景をご紹介。

い草という素材への思いから、形や色が空間にもたらす印象まで、日頃の商品紹介では伝えきれないものづくりの背景をお届けしました。

い草を家具に使うことが、産業の未来につながる

トーク前半では、い草を用いたブランド「Look into Nature」の海外での歩みを紹介しました。

日本の暮らしと長く結びついてきたい草。しかし、生活様式の変化に伴う畳の需要減少などにより、その生産を支える環境は厳しさを増しています。

家具メーカーであるアダルにできることは、い草を家具に取り入れ、使われる場面を広げること。その需要を生み出し、素材と産業を未来につないでいきたいという思いが、ブランドの出発点にあります。

ミラノで展示を重ねるなかで、い草に関心を寄せる海外のデザイナーや企業とのつながりも生まれてきました。
2026年は、ウェルネス企業のStarpool、建築設計事務所のOne Worksとの協働を紹介。家具にとどまらず、さまざまな空間でい草を活用する可能性が広がっています。

現地でのエピソードとして語られたのが、い草の香りに来場者が反応したこと。素材について説明する前に、香りが興味の入口になったという話は、写真だけでは伝わらないい草の魅力を感じさせるものでした。

心地よさを、形・素材・色から考える

後半のテーマは、アダルのものづくりの考え方と、新商品が生まれるまでのプロセスです。

家具が空間に置かれたとき、どんな場所が生まれ、そこで過ごす人が何を感じるのか。アダルは、その先にある体験を思い描きながら、一つひとつの形や素材を検討しています。

トークでは「安堵感」と「心地よい緊張感」を手がかりに、造形や素材、色による印象の違いを紹介しました。

丸みのある形に光が当たったときの柔らかな陰影。
角のある形が生む、くっきりとした影。
木や金属の質感、明るい色や深い色。

それぞれの組み合わせから、空間にふさわしい心地よさを考えていきます。

今回発表した新色「渋土(しぶつち)」「沢影(さわかげ)」も、自然の中で目にした土や、沢に落ちる影などの美しさが着想のもとになっています。当日は実際の空間の事例も交えながら、新色に込めた意図をお伝えしました。

完成前だから伝えられる、開発の過程

会場では、総合カタログVol.29に向けて開発中の新作家具を、一部先行公開しました。

トークでは、スケッチから模型、原寸モデル、試作へと進む開発の過程も紹介。小さな模型で全体のバランスを確認し、実物大にすることで、細部の形や寸法をさらに詰めていきます。座り心地についても、角度などを調整しながら検討を重ねています。

完成した姿だけでは見えにくい、細かな判断の積み重ね。今回の展示は、そうした開発の途中にある家具を、背景とともにご覧いただく機会となりました。

一脚から、空間全体へ

さらに、飲食店・ホテル・オフィスの用途が重なり合うなかで、家具に求められる役割についてもお話ししました。

カフェのようにくつろげるオフィスや、ホテルのラウンジを思わせる場所。それぞれの用途を越えて使いやすい家具を考えることが、これからの開発につながっています。

新作の紹介では、家具を配置した際の見え方にも触れました。背の向こうが見える抜け感や、軽快な椅子と量感のあるソファとの対比。一脚のデザインから、複数の家具を組み合わせたときの景色までを考えることも、アダルが大切にする視点です。

トーク終了後には、参加者の皆さまが展示家具のそばに集まり、会話する姿が見られました。背景を聞いた後に実物を間近で見ることで、形や素材に込めた工夫にも目を向けていただける場となりました。

い草を未来につなぐこと。そして、家具を通して心地よい空間をつくること。
今回お伝えした二つの取り組みを、これからも一つひとつ形にしていきます。

ご来場いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

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