新しい働き方のひとつとして注目を集める「ABW(アクティビティベースドワーキング)」。 コロナ禍の影響でテレワークへの移行が加速し、オフィスの存在価値が問われている今の時代の大きなキーワードとも言えます。

そこで今回は、その「ABW」に着目し、導入のメリット・デメリットも整理しながら解説していきます!ぜひ今後のワークスタイルづくり、ワークプレイスづくりにお役立てください。

そもそも「ABW」とは?

活動内容(アクティビティ)に合わせた環境を 自由に選びとれるワークスタイル戦略。

「ABW」はオランダで生まれたワークスタイル戦略で、 固定の席を設定せず、ワーカーそれぞれの活動内容(アクティビティ)に合わせて最大のパフォーマンスを発揮できる環境(場所や時間)を選び働けるというもの。

一人で集中したいとき、気軽に打ち合わせがしたいとき、休憩してリラックスしたいときなど、それぞれの内容に適した専用の環境を構築して展開していきます。

歴史の始まりは、オランダの働き方改革。 オーストラリアでの成功事例を経て浸透。

「ABW」の歴史は、オランダの働き方改革から始まりました。その土台は、「個人が最善の仕事をするための時間とパートナーを自由に選ぶ権利がある」という考え方です。
そしてその後、オーストラリアで成功事例がみられたことによって浸透していき、同じく日本でも、働き方改革の手法として注目度が急速に高まっています。

「ABW」と「フリーアドレス」の違いは? 根本的に大きく異なる考え方。

固定の席を設定せずに自由に働けるといえば、「フリーアドレス」を思い浮かべる方も多くいらっしゃると思います。この「フリーアドレス」と「ABW」は混同されがちではありますが、実は根本的なところが大きく異なります。

「フリーアドレス」で席が自由に選べるのは物理的な要素が大きく、資料・ツールの置き場所の省スペース化につなげるのもコスト面重視の傾向が強いです。

それに対して「ABW」は、ワーカーの活動内容に着目しています。黙々と一人で進めた方がいい内容か、誰かと会話しながら進めた方がいい内容か、気軽な雰囲気でミーティングを行った方がいい内容かなど、全てワーカーそれぞれの活動内容が基準となり、展開されていきます。 また、「フリーアドレス」はオフィス内での仕組みですが、「ABW」はオフィスに限ることなく働く場所を選ぶことができ、働く時間も基本的にワーカーの裁量に任されているので、その点でも明確な違いがあります。

いざ導入!「ABW」の4大メリット

1.最適な環境で生産性が格段に向上

活動内容に応じた環境で仕事を進めていけるので、生産性が格段に向上します。
リフレッシュ・リラックスに特化したリチャージスペースも、結果的に生産性の向上をサポートします。

2.ワーカーのモチベーションが向上

ワーカー自身が快適な環境を自由に選びとれるので、仕事へのモチベーションアップにもつながります。
通勤ラッシュを避けられる、営業先から帰社せずに自宅へ直帰できるなど、移動のストレス軽減や時間の有効活用になる嬉しいポイントも多くあり、結果的に仕事への意欲向上が期待できます。

3.従来のオフィスコストを削減

固定の席を設置しないことでコンパクトなオフィス設計につながり、省スペース化によるコスト削減も可能です。備品なども厳選することができ、従来のオフィスで発生していた様々なコストを削減できます。

4.リクルートにも効果的

「ABW」の導入でワーカーの満足度・モチベーションが向上すると、企業全体の魅力も高まっていきます。「ABW」の取り組みを知り、ワーカー重視の社風を感じとった優秀な人材が集まりやすくなる効果も期待できます。

要注意!「ABW」のデメリット

勤怠管理の難しさ

座席が固定されておらず、さらには適した環境であれば社外で仕事を進める場合もあるため、勤怠管理は難しくなります。導入前によく話し合い、新たな管理体制を整えておくことが必要です。

また、上司と部下が離れて仕事を進めるということになるので、信頼関係の構築も非常に重要です。

コミュニケーションの難しさ

ワーカーが自由に環境を選べるということは、誰がどこにいるのか把握しづらくなるということであり、コミュニケーション不足に陥る可能性があります。そのため、コミュニケーションを促進するような専用の空間づくりなど、工夫が必要です。

セキュリティリスク

基本的にモバイルワークで、ITを活用した情報共有などが必要になるため、セキュリティ対策を万全にしておかなければなりません。

また、オフィス内での移動が活発になることによる情報漏洩を防ぐため、セキュリティレベルに合わせたゾーニングも重要です。

導入前に押さえておきたい! 「ABW」成功ポイント

「ABW」導入の目的を社内で共有

「ABW」導入の目的をワーカー自身が認識していなければ、“ただ固定の席が決まっていないだけ”の状態になり、生産性やモチベーションの向上にはつながりません。

導入の効果を最大化するためにも、社内全体で「ABW」導入の目的・意義をしっかりと共有しましょう。

また、事前に社内アンケートを実施して、会議室の使用率やミーティング時の平均的な人数などに関する調査分析を行い、ワーカーの声を反映させていくのもオススメです。

適した家具・備品・機器を選定

活動内容に合わせた専用の空間づくりをするためには、それぞれの空間に適したデスクや椅子、備品や機器を選定し、設置する必要があります。

ITツールを有効活用

「ABW」の成功にはITツール活用が必須です。社内のどこにいても必要な情報にアクセスできる環境づくりを行いましょう。また、社内ではなく遠隔地にいたとしても、仕事の進捗状況をリアルタイムで全員で共有できるようなIT環境の構築ができると強いです。

コミュニケーションの活性化に工夫

決まったメンバーでオフィスに集うという機会が少なくなるため、誰がどんなプロジェクトに取り組んでいるのかが一目で分かるボードを設置して話題づくりをするなど、出社した際のコミュニケーションを促すような工夫を意識しておくのもポイントです。

「ABW」導入のデメリットとして挙げられる コミュニケーション不足の対策になります。

また、コワーキングスペースを設置し、部署間を超えた交流を促すという方法もオススメです。

「ABW」導入事例の簡単紹介

それでは最後に、「ABW」を実際に導入して成功している事例を簡単ご紹介します!

某不動産会社

壁やパーテーションを取り払い、多目的スペースを整備。部署間を超えたコミュニケーションの機会創出につながり、導入前には考えられなかった新たな動きが生み出されています。
また、ノートパソコンとスマートフォンを全員に支給し、在宅勤務でも対応できるような体制を整え、働きやすさを高めています。

某人材サービス会社

大テーブルのあるオープンなミーティングスペース・壁際の高集中ブース・カフェ機能を備えたコミュニケーション促進スペース・エクササイズもできるリチャージスペースなど、目的に寄り添った工夫のある空間を構築。

某ネットワーク機器開発メーカー

導入前に社内で「ABW」について学び、企業のカルチャーや制度にマッチするように組み立てて、「ABW」をスタート。集中作業用の椅子・気軽なミーティング用のハイカウンター・リチャージ用のソファなど、家具の数とバリエーションを増やし、空間づくりを実施しました。

働き方改革やコロナ禍でのテレワークへの移行など、「働き方」そのものが大きく見直されてきています。今回ご紹介した「ABW」は、そのような状況の中での大きなキーワードです。導入のメリットやデメリットを踏まえながら、効果的なワークスタイル戦略として、ぜひご検討ください。

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