コラム

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家具BIM標準化の挑戦──業界横断の協働が描く未来

建築業界で急速に普及するBIM(Building Information Modeling)。その波は家具業界にも及び、業務用家具メーカーがRevit向けのBIMファミリデータを公開する動きが広がっている。しかし、企業ごとに仕様が異なるため、設計現場での活用に課題が生じていた。

業界横断の取り組み、6社による標準化の議論

2025年2月、当社のBIM推進事業 五味隆夫チーフの呼びかけで、イトーキ、オカムラ、オリバー、コクヨなど6社が集まり、BIMデータの標準化に向けた交流会を開始。月1回のペースで議論を重ね、企業の枠を超えた協働が始まった。
8月にはオートデスク主催で、家具メーカー6社と内装ディスプレイ会社7社による意見交換会が実現。内装設計者の視点から、BIM導入による合意形成や業務効率化への期待が語られた。標準化は、家具メーカーにとっても内装会社にとっても推進力となることが確認された。

標準化の具体項目と焦点

交流会では、標準化に必要な13項目を抽出。その中から以下の5項目を重点項目として選定:

  • データ更新頻度
  • 対象カテゴリー(椅子、タスクチェア、ソファ、ベンチ、テーブル、デスク)
  • ファミリカテゴリー
  • パラメーター・名称
  • 挿入起点

属性情報は「幅・奥行・高さ・座面高・ひじ掛け高・品名・品番・重量」の8項目に絞り、設計時の使いやすさを重視した。

Revit対応と業界連携の進展

Revit 2022を基準とした運用方針を定め、設計現場との整合性を確保。製品データの起点を明確にすることで、家具配置の精度向上を図っている。また、Revit User Group(RUG)との連携により「Room・Rule・Book」という共通指針づくりが始まり、設計者・メーカー間の情報共有が活発化してきた。

標準化はまだ道半ば。企業ごとの仕様や設計思想の違い、使用目的の不明確さなど課題は多い。しかし、共通の目的に向かって一歩ずつ進む姿勢が業界全体に広がっている。家具BIMデータの標準化は、単なる技術的整備ではなく、業界の未来を形づくる挑戦である。

メディア掲載のお知らせ

この取り組みは、2025年10月20日・21日・22日に発行された建設通信新聞にて3日連続で紹介されました。業界内外から注目を集める内容となっており、当社のBIM推進活動が広く認知される機会となりました。

出展 建設通信新聞

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