コロナ禍で飲食業界全体が困難に直面している今、以前に掲載させていただいた愛され続ける老舗店の皆様に、改めてお話を伺いました。目まぐるしい変化との向き合い方、新たな取り組み、変わらず大切にしていること。追加インタビュー分も含めた再編集版で、どんな時代も愛される名店の現在地をお届けします。

食品衛生対策を強化し、コロナ禍にも対応。新様式に合わせながら、懐かしい温もりを守る。

心身を癒す博多うどんと笑顔。“帰りたくなる”温かさ。

「おかあさん、元気やった?」「顔を見にきたよ!」たくさんの人たちが声をかけるその先には、「因幡うどん 渡辺通店」店長・森口さんの笑顔がある。当時の社長から「あなたに任せた!」と言われて以来、40年近くもずっと渡辺通店の“おかあさん”だ。そして、その傍らでサポートしているのが娘の直美さん。母娘のコンビネーションで、温かな場所を守り続けている。
手間ひまかけた自家製麺に天然素材のだし一筋で、来店客の心身を癒す博多うどん。ゆったりと味わっていただけるように、背もたれのないタイプのイスから、きちんと支えられるイスに変え、居心地の良さへの工夫を重ねている。

天神に近く、オフィスビルが並ぶ渡辺通エリアの中で、不思議なくらい「あの頃」のまま。幼い頃に家族と訪れていた子が、成長して大人になって再び訪れる。そのときにも同じ美味しさと笑顔で迎えられるよう、今日も大切なものが守り継がれていく。

とにかく安全・安心が大前提。ずっと取り組んできた食品衛生対策を活かす。

昨今の社会の目まぐるしい変化にあたり、店主へインタビューを実施。
もちろん『はたらく家具 第8号』掲載時と同じく、ホッとする母娘のコンビネーションは健在だ。
「2018年6月に改正食品衛生法が成立し、HACCPが義務化され、HACCPに基づく衛生管理について計画を定めることとなり、食品衛生対策の強化に努めてきました。そして、その細やかに行ってきた衛生管理を、コロナ禍での感染拡大防止にも活かせています」と娘の直美さん。抜群のチームワークで衛生対策の強化に取り組んだ結果、「食の安全・安心五つ星店」に認定されている。

「古い店でも真面目に取り組めば必ず成果を出せるんだということを実感しました」と語る森口さんの言葉が印象的だ。

外出しづらい中でのニーズにも対応。安全と安心を最優先に、博多の食文化を伝えていく。

最後に、これからに向けてのメッセージをいただいた。
「いつご来店いただいても懐かしくてくつろげる場所であり続けることはもちろん、なかなか外出しづらい状況でもあるので、お取り寄せのニーズにもお応えし、強化していきたいと考えています。これからも食品衛生対策に力を入れ、お客様の安全と安心を最優先に、博多の食文化を守りつないでいきたいです」


因幡うどん 渡辺通店
住所/福岡県中央区渡辺通2-3-1
電話/092-711-0708