スフレを広めたい想いで開業、全国・海外からファンが来店。

イタリアンのお店で活躍していた岸本剛さんが、1993年に開いたチーズケーキ・スフレ専門店。当時はスフレの認知度がまだまだ低く、スフレの美味しさ・魅力を広めたいという想いもあり、開業に至った。「スフレには、膨らむか膨らまないかの緊張感があります(笑)そういうところも面白いですね」と微笑む岸本さん。実際に倒れそうなほど膨らんだ夢のような名物スフレを求め、日本全国はもちろん、海外からもファンが訪れる。

ブルーとホワイトにグリーン、家具も植栽もずっと大切に。

空間づくりで重視したのは、明るくて爽やかな印象の店内にすること。そのため、ブルーとホワイトをベースにした構成で、植栽のグリーンがバランス良くアクセント的にレイアウトされている。
家具にも配色へのこだわりが反映されていて、30年前のオープン当初からある曲木のチェアは、座面の張地を張り替えながらずっと愛用され続けてきた。また、視覚障害の友人をきっかけに、オーダーメイドですべて白く縁どられたテーブルも、お店にとって必要不可欠な存在となっている。

見た瞬間に歓声が上がる数々のメニューに加え、岸本さんの飾らず自然体で温かい人柄も影響し、リピーターが多い。携帯電話を持っていないため、SNSで話題になっていても分からないという岸本さんだが、お店のホームページも、もっと知ってもらいたいから私につくらせてほしい!と要望があり、常連客の一人が自ら制作してプレゼントしたほどの愛されぶりだ。

30年前のオープン当社からあるアダル製の曲木チェア

朝日を表現する店名のように、たとえゆっくりでも上向きで。

店内すべてのグリーンに毎日変わらず水やりをするように、同じことを地道にコツコツ30年。「おかげさまで30年継続してこられましたが、まだ今までのことを振り返る時ではないと思っています。初心を忘れず、前に進んでいくのみです」と語る岸本さん。

日頃から大切にしているキーワードの中に、「出発」がある。それはつまり、「いつも新しい一歩を踏み出す意識で進む」ということ。フランス語で朝日を表現する店名に込めたように、たとえゆっくりでも新鮮な気持ちで着実にのぼっていく。素材も製法もベストなものを選び、衛生面も徹底した日々を続けていけるのは、同じことを繰り返しながらも、一歩ずつ進んでのぼっていると感じるから。そしてその一歩に、これからもずっと寄り添い続けられる家具であることを願う。




プティ ジュール
住所/福岡県福岡市中央区薬院1-12-19 ロマネスク薬院2

納入商品/ボナ・C
ADAL FURNITURE GUIDE vol.14掲載 (1989年発刊)