働き方が多様化し、働く環境を自由に選べるスタイルが浸透しつつあるなかでオフィスの在り方が見直されています。オフィスに出社する意味とは、オフィスの価値とは何か。前線で活躍する IT企業3社の経営者に行った全3回に渡るインタビュー企画です。

第1弾は、Webコンサルティング事業を展開する「株式会社Hide &Seek」。そのオフィスが入るビル内の別フロアに、2021年4月に新しいオフィス空間が誕生。同社代表を務める江口氏、オフィス設計を担当した株式会社アダル プランニング室 露口氏にオフィスづくりについてインタビューを行いました。

大胆なフリーアドレス化で、様々な働き方を創出。各シーンに適した座り心地もパフォーマンス向上を促進。

コミュニケーションとコラボレーションを生み出せることがオフィスの意味と捉え、面積の半分をフリーアドレス化。ミーティング・コワーク・リチャージなど、働く上での多様なシーンに合わせたエリアがプランニングされている。

居心地・人心地・使い心地・座り心地・触り心地・耳心地。様々な角度から心地よさが追求され、特に意識されているのが「心地よい緊張感」の醸成だ。フリーアドレス化が逆にストレス要因や集中の妨げにならないよう、素材・配色・余白・照度の組み合わせを計算して創り出したオフィスならではの「心地よい緊張感」で、社員のパフォーマンス向上を促進する。

一人ひとりが働き方を選びながら主体的に動き、多様な社内ベンチャーを創造していくという同社の展望に寄り添った空間、今後の成長を強く後押しするオフィスが躍動し始めた。

コミュニケーションしやすく、主体的に動けるオフィスを、成長につなげていく。

株式会社Hide&Seek
代表取締役
江口 修一


同じビル内の別フロアということで、どのフロアのスタッフも気軽に利用できるフリーアドレススペースを広めに確保したいと考えました。誰でも自由にカフェ感覚で使えて、日頃は交流の少ないメンバーともコミュニケーションが生まれるような空間をイメージしました。特に最近は、コロナ禍の影響でなかなかカフェにも行きづらい状況が続いていたこともあり、皆が心地よく気分転換できる場所は絶対につくりたかったです。

露口さんには、スタッフが10人ほどだった時代から相談にのってもらっていて、いつも様々な工夫のあるプランニングをしてくださるので、今回もご提案いただき、非常にコミュニケーションがとりやすいオフィスに仕上げていただきました。緊張とリラックスのバランスがすごく心地よいと感じています。

ご提案いただいた家具すべて気に入っていますが、その中でもラウンジエリアの大きくて個性的なソファが特に好きです。今後は、ラウンジエリアにボードゲームを備えるなどして、自由度やワクワク感をより高めていきたいと考えています。たとえオフィス内であっても、ときには気分転換でゴロゴロしたり、のんびり過ごしたり、それが働きやすさや成長につながっているのなら十分に意味があることです。

やはり一緒に働くスタッフ同士が切磋琢磨して高め合うにはコミュニケーションが大切で、特に新たなチャレンジに取り組むときは、オフィスという場所が必要不可欠だと感じます。この新しいオフィス空間で、スタッフ一人ひとりが主体的に働き方を選びながらリーダーシップを育み、将来的に多様な社内ベンチャーが生まれていくことを期待しています。新しい働きやすさを発展させ、成長につなげていきたいです。

滞在時間や人数を想定したエリア分けなど、多様なコミュニケーションをプランニング。

株式会社アダル
本社プランニング室 マネージャー
露口 治


内装設計から施工まで一貫してお手伝いさせていただきました。最初にフリーアドレス化のご要望を伺い、社員の方々の多様なコミュニケーションが必要とされていたため、ミーティング・コワーク・リチャージそれぞれを確保できるゾーニングを構築しました。

特にミーティングに関しては、滞在時間や使用人数を想定し、「そっとミーティング」「さくっとミーティング」「しっかりミーティング」「ゆったりミーティング」という4つのエリアに分けて設計をしています。

オフィス空間の設計をさせていただく際、強く意識しているのが「心地よい緊張感」です。ドアを開けて入った瞬間からスッと心が静かに落ち着くようなイメージで、それはテレワークでは感じられないオフィスならではのものですね。そのため今回のプロジェクトの素材はモルタルをベースにしていて、家具と組み合わせた配色や余白、そして照度など様々な角度から「心地よい緊張感」を意識したプランニングを行い、ご提案しています。高さに関しても、間仕切りや棚の高さを会議室の壁の高さに合わせて揃え、天井を黒塗りして目立たせないことで、圧迫感のない心地よさにつなげています。

家具の選定では、空間に溶け込みながらも映える、そして空間を引き立たせるということを意識しました。特に余白についての考え方がポイントで、家具を設置することによって変化してくる空間の余白を、平面と立面で考え抜きます。空間と家具の関係性にも、心地よさが必要です。

座るという行為には、気持ちのスイッチを切り替えるような意味があると思います。ミーティングに臨むときは座った瞬間からONになり、リラックスしたくて座ったときは気持ちがホッとしてOFFになるといったイメージですね。そのようなオフィスにおける気持ちの変化をデザインし、それぞれのシーンに寄り添う家具をご提案し、心地よい働き方を今後もサポートさせていただきたいと思っています。

株式会社Hide &Seek
設計/株式会社アダル 本社プランニング室 露口治
納入商品/内装工事・家具一式