ハイビスカスやブーゲンビリアの花々が随所に咲き、屋外プールや芝生ガーデンでのグラウンドゴルフなどアクティビティも充実。客室は、各部屋からの景観に合わせ、久米島の癒しを全身で体感できるよう設計。施設の中だけで南国リゾートを十分に満喫できる工夫が積み重ねられた「リゾートホテル久米アイランド」の総支配人・芝野紗矢香氏と、空間デザインを手がけた深津泰彦氏にインタビューを実施しました。
観光地や周辺エリアを巡るというよりも、宿泊先でリラックスしながらゆったり過ごす。宿泊先での滞在を目的とした新たな旅のスタイルを叶えるホテル像に迫ります。

リゾートの特別感と家のような安心感

リゾートホテル久米アイランド
総支配人
芝野 紗矢香

「久米アイランド」は海に面していないということもあり、施設内アクティビティの強化に注力していて、外に出なくても充実した滞在を楽しんでいただけるよう工夫を重ねています。屋外プールや芝生のガーデンなどで様々なアクティビティを体験していただきたいです。夏のナイトプール、ガーデンでのグラウンドゴルフも人気ですね。
日常の喧騒から離れた特別なリゾート感を重視していますが、接客サービスに関しては、親しみやすさや温かさを感じていただけるように心がけています。日常生活を忘れてしまうほどの特別感と、おじいちゃん・おばあちゃん家に遊びに訪れたくらいの安心感、そのどちらも両立できているホテルが理想です。特にリピーターのお客様には、「いらっしゃいませ」ではなく「おかえりなさいませ」とお出迎えすることが自然になっています。久米島出身で久米島がホームのスタッフが多いことも、アットホームな空気感の理由かもしれません。そういったスタッフとの距離感が、リピートしていただける魅力のひとつだと思っています。

家具の使いやすさが滞在の快適性に直結

アダルさんの家具は、色味も造りも本当に美しくて、すごく頑丈ですね。スーペリアダブルルームでは中央にテーブルをレイアウトしていますが、客室の中央に設置した固定家具は通常はぐらつきがちなのに、全くそのようなことがなく、しっかりと安定しています。
また、図面だけで完了ではなく、打ち合わせを丁寧にしてくださったので、家具の使い勝手への要望も汲みとっていただけて、とてもありがたかったです。

リゾートの景色を守り続けるために

那覇から飛行機で約35分、久米島空港から車で約20分、「久米アイランド」に来てくださったお客様には、日常生活では感じられない特別なリゾート時間をゆっくり過ごしていただきたいと思っています。施設の外は、のどかでのんびりとした久米島の雰囲気、そこから施設の中に一歩入れば優雅な南国リゾート、というギャップも魅力です。

そしてそのためには、南国リゾートならではの美しい景色を構築し、維持していくことも重要です。屋外プールや芝生のガーデンに加え、ハイビスカス・ブーゲンビリア・パパイア・バナナ・マンゴーなど沖縄らしい植物もリゾートの雰囲気を高めるので、植栽専門のスタッフが丁寧に手入れをし、南国リゾート感に溢れた景色を守り続けています。

久米島観光のイメージを担うことへの使命感

全142室は久米島最大の客室数であり、「久米島と言えば久米アイランド」というように、久米島観光のイメージを担っていく使命感を抱いています。客室アンケートで貴重なご感想をいただけるので、お客様の声を反映しながら常に改善を重ね、お客様の声に寄り添うホテルでありたいですね。特別な記念日に選んでいただけることも喜び、何でもない日にふらりと訪れていただけることも喜び。「また帰ってきます」と言っていただけるホテルであり続けたいです。

客室から豊かな久米島の「海」と「山」を体感できる

株式会社ヤズデザインインターナショナル
代表取締役 / インテリアデザイナー
深津 泰彦

「海が見えない客室」でもデザインで魅力的に

客室の全面改修にあたり、オーシャンビューの客室は「海」をテーマに、緑豊かな森が見渡せる客室は「森」をテーマに設定してプランニングを進めていきました。たとえ海が見えなくても、その部屋ならではの魅力があり、とても美しい癒しの森の存在を際立たせたく、あえて「海」と「森」というように明確に分けています。森と芝生の緑があることは、久米島の他のホテルと比較しても「久米アイランド」ならではの特徴なので、そこに着目しました。
まず、それぞれの世界観を創り上げるのに大きな役割を果たしているのが、部屋に入った瞬間に目にとまるカーテンプリントです。ヘッドボードとのバランスも緻密に計算し、間接照明に照らされると久米島の海や森をイメージしたプリントが、幻想的に浮かび上がるようになっています。

カーテンプリントを採用したのは、クロスにすると石膏ボードや軽量鉄骨などが必要で材料も工程も多く、離島での施工が困難だったという背景があるのですが、結果的にカーテンプリントならではの効果が生まれました。間接照明でカーテン後ろの壁面塗料の粒に影ができるので、海のプリントでは塗料の粒がビーチの砂のように立体的に浮かび上がって見えます。

家具の木感や色味も効果的に活用

家具にも「海」のブルーや「森」のグリーンを効果的にとり入れています。木の温かみはどちらの客室でも意識していますが、「森」の客室の方が木感を強く感じられるようにデザインしています。「海」の客室ではホワイトオークなど明るめの木の家具を選定して明るく軽やかな海の雰囲気を表現しており、その木感の違いもこだわったポイントです。

また、生活感を抑えるため、「家具のようなキッチン」にもこだわりました。レンジフードを隠し、“IHとシンクが家具にたまたま付いている”といった佇まいに仕上げています。食器棚や収納スペースの扉などに用いているラタン素材も、リゾートの雰囲気づくりに効果的です。
そして、そういった家具とカーテンプリントの効果が合わさり、テーマに沿った世界観を創出することで、「久米アイランド」ならではのリゾート感へつながっています。

家具のプランニングは相互のスケッチで進行

アダルさんとのやりとりは、担当者の方とスケッチでコミュニケーションができたので意思疎通しやすく、非常にやりやすかったです。CADよりも細かくお互いに把握でき、寸法も分かりやすいですね。見えない部分まで描かれていて精度が高く、とても美しいスケッチで提案してくださったことが印象的でした。スケッチで創造しながら進めていけて本当によかったです。
さらに、前例がなくても「できない」ではなく「どうすればできるか」を懸命に考えてくださり、現場での柔軟な対応も助かりました。

3つのホテルの相乗効果で久米島を魅力的に

久米島には「久米アイランド」を含めて3つのホテルが存在しています。私は、それぞれのホテルが良い意味で意識し合って高め合っていくことで相乗効果が生まれ、それが久米島自体の魅力につながり、多くの方々に愛されると確信しています。

リゾートホテル久米アイランド
住所／沖縄県島尻郡久米島町字真我里411
電話／098-985-8001
納入商品／客室家具一式
内装施工管理／株式会社JTB商事
設計／株式会社ヤズデザインインターナショナル
　インテリアデザイナー 深津泰彦
担当／沖縄営業所 所長 村岡信孝