5年間にわたる新社屋計画を経て、創業80周年を迎えた2023年に新たな一歩を踏み出した「長崎船舶装備」。同社にとって大きな転機となるその新社屋計画の全体プランニング・設計を手掛けた山口克己氏と、家具のプランニング担当として携わったアダルの宅万未夏による対談を実施しました! 企業の社屋における家具の役割をはじめ、2つの目線から今回のプロジェクトを振り返ります。


全体プランニング&設計担当
長崎船舶装備株式会社
建設事業部 NGS事業所 設計グループ 主務
山口 克己


家具プランニング担当
株式会社アダル
クリエイティブ事業部 本社プランニング室
宅万 未夏


手書きの草案段階から細やかにブラッシュアップ

山口:完成まで非常にこまめにやりとりをさせていただき、「一緒に創りあげていく感」がすごくありました。最初のプレゼン段階から、ヨットの帆を再利用した寝転べるクッションや、足場板をアップサイクルしたベンチなどのインパクトあるご提案をいただき、とても面白く興味深かったです。
宅万:ありがとうございます。通常であれば提案書をしっかりと美しくまとめて完全な状態でお渡しするのですが、今回のプロジェクトでは手書きでスピーディーにやりとりさせていただくことも多かった印象です。
山口:そうですよね。いつもは私も設計士としてクライアント様にご提案しますが、今回は完全にメイドイン自社のプロジェクトだったので、ボーダーレスに自由に進行させていただいた感覚です(笑)
宅万:私はやはり家具を軸とした目線で考えてしまいがちなのですが、山口さんから空間全体のバランスを考慮した様々なアドバイスをいただき、今後のプランニングにもつながる貴重な経験をさせていただいたと感じています。
山口:ありがとうございます。「これまでにない場所を創る」という想いに向かって実直に取り組むことができ、私にとっても本当に印象深い経験でした。

ゆったり過ごせる時間を重視して席数を変更

山口:アダルさんのショールームで実際にイスに座らせていただいたことで、さらにイメージが鮮明になっていきました。席数を減らす決断にも至りましたね。
宅万:はい、5階の窓側エリアは、当初はたくさんの方々が利用できるよう、小ぶりのイスを多めに並べる予定だったのですが、広くゆったり座れるタイプが非常に心地よいということで、あえて席数を減らしたプランに変更となりました。
山口:席数は減りましたが、海を眺めながらゆったり過ごせる「コーエン」というイスを採用させていただき、本当によかったと感じています。2脚だけ設置しているハイバックタイプについても、社員から「座ってみたい」という声をよく聞きますよ。

宅万:そうですよね、小ぶりの同じタイプのものを多く並べるより、多様なタイプをランダムに配置した方が空間にメリハリも出ますね。
山口:はい、それにランダムでありながらも落ち着いた色合いで全体的にまとまっているので、ガチャガチャ感はなくてリラックスできるんですよね。宅万さんに張地選びを全てお任せして、ものすごくよかったです。
宅万:ありがとうございます!「SOLARIUM」を利用していただきながら、社員の皆様それぞれのお気に入りの席、お気に入りの場所を増やしていただきたいですね。

新たな多目的スペース「SOLARIUM」の名称は社員からの公募で決定。壁面には稲佐山の山並みが表現されている

社章の無限マークをエントランスのベンチに

社章の無限マークに着想を得たエントランスの「無限ベンチ」はシンボル的存在

山口:1階の「無限ベンチ」に関しても、リクエストに細やかに応えてくださり、本当にありがとうございました。最初は7mの吹き抜けを活かしてシンボルツリーを設置したいというところから始まり、途中で社章の無限マークをとり入れたいとお伝えして。
宅万:山口さんのお考えを伺い、絶対にイメージ通りのものを具現化したい!と思いました。エントランスは会社の顔ですし、アイデンティティを伝える場所でもあるので、社章の無限マーク以上に最適なものはありませんよね。
山口:企画段階からずっと私たちの想いに寄り添ってくださり、ありがとうございます。完全オーダーメイドで製作いただいて、2階から見ると無限マークが分かるという隠れた仕掛けも好きです(笑)
宅万:実際に設置する際の山口さんのお姿も非常に印象に残っています。シンボルツリーとしてふさわしい枝の高さや、モニターが隠れないように配慮した絶妙な枝のふり方・・・本当に最後まで徹底的にこだわっていらっしゃり、すごく学ばせていただきました。

部門を越えた交流で成長をもたらす場所へ

山口:そして営業担当の片山さんにも大変感謝しています。私が日頃から大切にしていることを、宅万さんにも細やかに伝えてくださったとか。
宅万:そうですね、「山口さんならどのようにお考えになるでしょうか?」と相談したことも多かったです。ずっと使い続けられるよう、メンテナンスのしやすさを大切にされていることも片山から教えてもらい、ご提案のときに意識していました。
山口:そうだったんですね。アダルさんとは「イスヤ商会」としてされていた時代からのお付き合いで、もう30年ほどやりとりさせていただいていますが、今後も一緒に様々なプロジェクトに取り組ませていただきたいです。
宅万:ありがとうございます。まだ稼働が始まったばかりですが、5階の「SOLARIUM」はどのように活用されていくイメージですか?
山口:そうですね、旧社屋では難しかったのですが、部門を越えたコミュニケーションができるようになったと考えています。研修やレクリエーションの場としても活用していきたいですね。
宅万:次の100周年に向けての動きも楽しみです。
山口:はい、サステナビリティへの意識を持ちながら、人と企業の成長につながる新社屋を展開していきます!

木・グリーン・サンドカラーの調和が癒しのカフェのような心地よさを創出



長崎船舶装備株式会社
住所/長崎市西琴平町1-5
電話/095-824-4411
納入商品/特注ベンチ、特注ハイテーブル、特注プランターBOX付きベンチ、特注台形テーブル、レイ、エア、ジャック、シトラ、コーエン、メゾンカウンター、別注ハング、ローレンス、ウィングバック、エンフォールド、クラーク、ノーマ
担当/長崎営業所 所長 片山弘文
家具プランニング/クリエイティブ事業部 本社プランニング室 宅万未夏