働き方が多様化し、働く環境を自由に選べるスタイルが浸透しつつあるなかでオフィスの在り方が見直されています。オフィスに出社する意味とは、オフィスの価値とは何か。前線で活躍する IT企業3社の経営者に行った全3回に渡るインタビュー企画です。

第3弾は、 東京拠点が2021年9月に移転オープン、独自のキーテクノロジーの提供をはじめ、日常生活の場面からビジネスシーンに至るまで、テクノロジーの力であらゆるものを「CONNECT(コネクト)」し、革新を起こし続ける「株式会社ビットキー 」のオフィスを特集。同社代表を務める江尻氏、新オフィスの空間デザインを行ったCANUCH Inc. の木下氏にオフィスづくりについてインタビューを行いました。

コラボレーションをキーワードに、体感型の空間づくり。世界が変わるほどのオフィス体験を世の中へ。


株式会社ビットキー
共同創業者 / 代表取締役 最高経営責任者
江尻 祐樹


CANUCH Inc.
デザイナー / CEO
木下 陽介


Bitkey x canuch 共創するオフィスのつくり方(short ver.)


全エリアを体験することで意図が浮かび上がってくる

コーポレートメッセージ「CONNECT」を発信するコミュニティスペース

江尻)以前から、自社のサービスを体現した空間、私たちのメッセージを外部に分かりやすく発信できる場所をつくりたいと考えていました。すべてのエリアに狙いがあり、すべてのエリアが目玉です。木下さんをはじめ、プロジェクトメンバー全員がこだわりのアイデアを出し合いながら検証を重ね、想像以上のコラボレーションができたと感じています。

木下)そうですね。お互いに役割の線引きをすることなく、領域を決めることなくプロジェクトを進めていった印象です。最初にライブショールームというキーワードをいただいて、そこから紐解いていきました。このオフィスを体験すれば1本のCMが完成するくらいのメッセージ体感性を生み出したいと考えました。

江尻)はい、オフィス全体をまわりながら、ひとつひとつを体験していただくことで、各エリアの意図が立体的に浮かび上がってくるような構造です。特定の部分だけ切り取るのと全体を把握するのでは伝わるものが全く違うので、ぜひオフィスをまるごと体験していただきたいですね。

木下)デジタルの世界でありながら、空間を通して温かなおもてなしの心、人への配慮が感じられるように意識しています。また、意匠面では、ビットキーさんのロゴマークから想起される線的な表現を効果的に散りばめ、空間全体で一貫性を確保することにも注力しました。

会社の顔となるエントランスでは、ビットキーのブランドを体現するロゴをモチーフとした存在感のある壁面装飾がゲストと社員を迎える。 (撮影/ Nacasa&Partners)

ロゴマークから想起された三角形のテーブル、天井装飾など、企業を体現するデザインが各所に散りばめられている。 (撮影/ Nacasa&Partners )

専門性だけでなく、全体視点のコラボレーションが大切

全10室ある会議室は、 社内会議での利用、面談や商談などの社外打ち合わせ、会場とオンラインで繋ぐハイブリット開催など、様々な目的に応じて柔軟な使い分けが可能。
(撮影/ Nacasa&Partners)

江尻)私のこだわりが強すぎて、木下さんはすごく大変だったと思います(笑)開口部の間口が狭すぎるとか、角度にまでこだわって色々と相談を重ねましたよね。

木下)とても刺激をいただきました(笑)間口の件を例に挙げれば、最初はどうしてそこまで間口を広くされたいのかが分からなかったんですが、お話を伺っているうちに、社員さん同士のコミュニケーションのとりやすさを確保したいんだということが分かり、江尻社長の熱量をすごく感じたんです。江尻社長は、ご依頼の最初の段階からイメージとレイアウトを用意されていましたし、決断も非常に迅速。設計者として気づかされることが多く、コラボレーションさせていただけて本当にありがたいです。今後にも活かしていこうと思います。

江尻)全員が全体視点で高い価値を追求していくコラボレーションだったと感じます。専門性をぶつけ合って高度なレベルで良質なものが生まれていきました。空間デザインとテクノロジー、どちらかが欠けていたら、このオフィスは成立していないです。

コラボレーションの価値を自然に体感できる

木下)ワークスタイルの多様化にともない、オフィスのプレミアム化が浸透してきています。イベントなど集まるきっかけが常にある場所、熱量を合わせて新しいものを創造していく場所として機能させていくことが大切です。精神的な報酬がある場所とも言えますね。

江尻)特にコラボレーションで新しい価値を生み出していく場合、リモートだけでは不可能に近い。生産性やアウトプットの質に、だいぶ差が出ます。今回のプロジェクトで、社員や外部パートナーの方々に、コラボレーションしやすいオフィスを自然と感じていただけているところもよかったです。

木下)テレワークも導入されていますが、社員の方々の出社率はやはり高いですか?

江尻)非常に高いですね。行きたくなるオフィス、モチベーションが上がるオフィスづくりが大切だと思います。社員証などのカードが不要になったことに関しても、反応が良いです。もう前には戻れないという声をよく聞きます。

木下)はい、たくさんの方々に、このオフィス空間を1度体験していただきたいです。それだけで世界が変わると思います。

自社技術「 workhub 」を活用した無人受付。社員はもちろん、ゲストも顔認証で通過が可能。デジタルサイネージには 会議室の利用人数やフリースペースの混雑状況などを常時投影される。
( 撮影/ Nacasa&Partners )

こういったオフィス空間を世の中にひとつでも多く

木下)家具の選定ですが、オフィスのプレミアム化を考え、その企業の文化を伝えられるような家具を探していました。アダルさんは、従来のデスクとイスのセットにとどまらない提案をされていて、例えばラウンジエリアで1日を過ごすときに寄り添える家具などのイメージがしやすかったので依頼させていただきました。 家具は空間のエレメントで、ひとつの装置だと捉えています。そこを起点にどう関係をつくっていくか、広げていくかが大切ですね。

江尻)2021年9月にオープンし、すでに45社もの方々に見学いただきました。そのまま自社に導入したい、移転の際は任せたいと言っていただけることが多く、この空間をつくって本当によかったと感じます。

チームごとに分けた暖簾をくぐり、帰属感を高める執務エリア。 (撮影/ Nacasa&Partners)

木下)私もプロジェクトに携わらせていただいて、本当に嬉しいです。これからもオフィスには常に変化が求められますので、フィードバックをいただきながらブラッシュアップのご提案をしてまいりたいと思っています。働き方の変化に対応できる余白が大切で、その余白をふまえたプランニングを心がけています。

江尻)そうですね。新しい働き方の浸透に少しでも寄与できればと考えています。今回のプロジェクトをさらに発展させ、良質なオフィスを世の中にひとつでも多く生み出していきたいです。


【株式会社ビットキー
東京都中央区京橋3-1-1  東京スクエアガーデン9F
設計/CANUCH Inc.
納入商品/アリア、ボムボム、ストライク、リッツ、クロスレグ、トンディーナ

◆各エリアのオフィスデザインについての詳細記事はコチラ↓↓↓

「 何気ない憩いから生まれる 新たなコラボレーション。テクノロジーとデザインの融合で、 オフィスのポテンシャルを最大化。」
https://www.adal.co.jp/projects/bitkey/

◆インタビュー動画のノーカット版はコチラ↓↓↓
Bitkey x canuch 共創するオフィスのつくり方(full ver.)